火災保険の契約を申し込む際、あるいは事故が発生して保険金を請求する際、多くの人が直面する疑問が、給湯器は建物なのか家財なのかという区分です。この区分は非常に重要で、もし家財のみに保険をかけていて建物に保険をかけていない場合、建物とみなされる給湯器が壊れても一円も支払われないという事態になりかねません。一般的な保険業界の通説として、給湯器は建物に固定されており、容易に取り外して持ち運ぶことができない設備であるため、建物の一部として扱われます。これは、システムキッチンやバスタブ、エアコンなどと同じカテゴリーです。しかし、これが賃貸住宅となると少し話が複雑になります。賃貸物件に最初から備え付けられている給湯器は大家さんの所有物であり、大家さんが加入している建物保険の対象となります。借主が加入している家財保険は、あくまで自分の持ち物を守るためのものなので、備え付けの給湯器が落雷で壊れても、借主の保険から修理代が出ることは通常ありません。この場合、修理義務は大家さんにあります。一方で、分譲マンションや持ち家の場合、給湯器は専有部分の建物設備として、所有者が加入する火災保険の対象となります。最近では、一戸建ての庭に置かれたエコキュートなどの大型設備も、建物に付随する屋外設備として補償範囲に含まれることが明文化されています。ただし、古いタイプの保険契約や、特定の共済などでは、屋外設備の補償が限定されていることもあるため注意が必要です。また、稀に家財として扱われるケースとしては、ポータブルな小型の湯沸かし器などが考えられますが、現代の住宅で一般的に使用されている壁掛け型や据え置き型の給湯器は、ほぼ間違いなく建物扱いです。この定義を正しく理解しておくことは、保険金額をいくらに設定するかという契約時の判断にも影響します。給湯器を含めた建物設備全体の再調達価額を正しく見積もっておかなければ、いざという時に十分な保険金が受け取れない過小保険の状態になってしまうからです。自分の住まいの形態に合わせて、給湯器がどの保険で守られているのかを明確に把握しておくことは、安心な生活を送るための基本中の基本と言えます。
建物か家財か迷いやすい給湯器の火災保険上の区分と定義