どんなに気をつけて油や食べカスを流さないようにしていても、なぜか我が家の台所だけは頻繁に排水溝が詰まりやすい。もしそんな悩みを抱えているなら、その原因は日々の使い方だけでなく、キッチンの排水設備の「構造」そのものに潜んでいるのかもしれません。詰まりやすさには、実は設計段階からの見えないリスクが関わっていることがあるのです。最も影響が大きい要素の一つが、排水管の「勾配」です。排水は重力を利用して流れていくため、排水管には下水の本管に向かって適切な傾きがつけられている必要があります。しかし、リフォームなどでシンクの位置を大きく移動させた場合や、そもそも設計や施工が不適切だった場合、この勾配が緩やかすぎることがあります。勾配が足りないと水の流れる力が弱まり、油汚れや細かなゴミが管の途中で滞留しやすくなるため、詰まりの頻度が格段に上がってしまうのです。また、シンク下から床下へと続く配管の「曲がり角(エルボ)の多さ」も詰まりやすさに直結します。配管のレイアウトの都合上、どうしても曲がり角が多くなってしまうことがありますが、水やゴミはこのカーブの部分で勢いを失い、留まりやすくなる性質があります。特に、角度が急な九十度のエルボが連続しているような配管は、詰まりの温床と言っても過言ではありません。さらに見落としがちなのが、シンク下の「排水ホース(蛇腹ホース)のたるみ」です。長いホースが途中でU字やS字に垂れ下がっていると、そのたるんだ部分に常に水が溜まった状態になります。この溜まった水の部分は、油やゴミが沈殿しやすく、ヘドロ状の汚れが形成される絶好のポイントとなってしまうのです。もし、これらの構造的な問題が疑われる場合は、もはや日々の清掃だけで根本的な解決を図るのは困難です。賃貸であれば大家さんに、持ち家であれば専門の水道工事業者やリフォーム会社に相談し、配管の調査や、場合によっては勾配の調整、配管ルートの見直しといった、より大掛かりな対策が必要になるかもしれません。頻繁な詰まりは、ただの不便ではなく、キッチンの構造が発する重要な警告サインなのです。
排水溝の詰まりやすい台所その構造的な落とし穴